避妊や性感染症の予防は、セックスにおいて最も重要なテーマの一つです。
多くの人がコンドームと聞くと男性が装着するものを思い浮かべますが、実は女性が自らの手で、主体的に性を守るための選択肢が存在することをご存知でしょうか。
それが、女性用コンドームです。
パートナーがコンドームを着けてくれない、ラテックスアレルギーで使えない、あるいはもっと自分の身体のことは自分でコントロールしたい。
そうした様々な思いに応える可能性を秘めたアイテムとして、近年、少しずつ注目を集めています。
しかし、日本ではまだ馴染みが薄く、どこで売ってるのか、値段はいくらなのか、そして何よりその使い方や実際の感想、避妊効果について、正確な情報が不足しているのが現状です。
この記事では、そんな女性用コンドームに関するあらゆる疑問に、包括的にお答えしていきます。
そのユニークな構造と仕組みから、女性にとっての具体的なメリット、そして知っておくべきデメリットまで、正直に解説します。
この記事を最後まで読めば、女性用コンドームがあなたにとって新しい、そして力強い選択肢となり得るかどうかが明確になり、自分の性を主体的に守るための確かな知識が身についているはずです。
- 女性用コンドームの基本的な構造と仕組み
- 女性が主体的に避妊できることのメリット
- 値段や使用感といったデメリットや注意点
- 気になる避妊効果と性感染症の予防効果
- 実際に使った人たちのリアルな感想や評判
- 失敗しないための正しい使い方と装着のコツ
- どこで売ってる?主な入手方法と販売場所

女性が知るべき女性用コンドームの基礎知識
- そもそもどんなもの?構造と仕組みを解説
- 女性主体で避妊できるメリットとは
- 値段や使用感などのデメリット
- 気になる避妊効果と安全性について
- 実際に使った女性のリアルな感想
そもそもどんなもの?構造と仕組みを解説
まず、女性用コンドームがどのような形状で、どういった仕組みで機能するのか、その基本から理解を深めていきましょう。
男性用コンドームがペニスに被せる「キャップ」だとすれば、女性用コンドームは膣内に挿入して使用する「袋(ポーチ)」のようなものです。
製品は、柔らかく薄い筒状の袋の両端に、大きさの異なる二つのリングがついている、というユニークな構造をしています。
素材は、男性用コンドームで一般的なラテックス(天然ゴム)ではなく、「ニトリルゴム」という合成ゴムで作られていることが多いです。
この素材は、ラテックスアレルギーの人でも安心して使えるという大きな利点を持っています。</
それぞれのパーツの役割は以下の通りです。
- 内側のリング(小さい方):袋の行き止まり側についている、柔らかく可動性のあるリングです。このリングをつまんで、タンポンを挿入する要領で膣の奥、子宮頸管の手前に固定します。このリングがアンカー(錨)の役割を果たし、セックス中にコンドームがずれたり抜けたりするのを防ぎます。
- 外側のリング(大きい方):袋の開口部についている、少し硬めのリングです。このリングは、膣の外側に残り、セックス中にコンドーム全体が膣の中に完全に入り込んでしまうのを防ぎます。また、陰唇やクリトリス周辺までを広くカバーする役割も担っています。
- 袋(ポーチ)部分:この袋が、挿入されたペニスを覆い、精液が膣内に進入するのを物理的にブロックします。潤滑剤が塗布されているものがほとんどです。
この構造により、女性用コンドームは膣の内壁にぴったりと張り付く形で装着されます。
セックス時には、ペニスが男性用コンドームと直接接触するのではなく、この袋の内側を往復することになります。
男性のペニスを締め付けないため、男性側の感触が自然に近いと言われることもあります。
仕組みとしては非常にシンプルで、精液が膣内に入らなければ避妊は成立し、粘膜接触を防げば性感染症が予防できる、という男性用コンドームの原理を、女性の身体側で実現したもの、と考えると分かりやすいでしょう。
女性主体で避妊できるメリットとは
女性用コンドームが持つ最大の意義、それは「女性が主体となって、自らの意思で避妊と性感染症予防をコントロールできる」という点にあります。
これは、女性のセクシャル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を守る上で、非常に重要な意味を持つ選択肢です。
具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
パートナーの協力に依存しない
残念ながら、中にはコンドームの装着を嫌がったり、拒否したりする男性も存在します。
そうした場合、これまでは女性側がピルを服用するか、あるいはリスクを受け入れるしかありませんでした。
しかし女性用コンドームがあれば、「彼が着けてくれないから」という理由で望まない妊娠や性感染症のリスクに身を晒す必要がなくなります。
自分の身体は自分で守る、という強い意志を、具体的な行動として示すことができるのです。
セックスのムードを妨げない
男性用コンドームは、挿入の直前に装着する必要があるため、その行為が雰囲気を中断させてしまう、と感じるカップルも少なくありません。
一方で、女性用コンドームは、性交の数時間前から装着しておくことが可能です。
そのため、いざという時に慌てる必要がなく、二人の気持ちが最高潮に達したその流れを、一切妨げることなく、スムーズに挿入へと移行できます。
ラテックスアレルギーでも安心
前述の通り、多くの女性用コンドームはニトリルゴム製です。
パートナーがラテックスアレルギーで、これまでコンドームの使用を諦めていたカップルにとっては、画期的な解決策となります。
また、素材の熱伝導性が高いため、男性用コンドーム特有のゴムの冷たさがなく、パートナーの温もりをより自然に感じられるという声もあります。
より広い範囲を保護できる
外側のリングは、膣の入り口だけでなく、クリトリスや陰唇といった外陰部の一部までをカバーします。
これにより、皮膚の接触によって感染する可能性のある性感染症(例:ヘルペス、尖圭コンジローマなど)のリスクを、男性用コンドームよりも広範囲で低減させる効果が期待できます。
これらのメリットは、避妊や性感染症予防の主導権を男性任せにするのではなく、女性が自分の身体と健康に対する責任と権利を持つ、というエンパワーメントの考え方に繋がります。




値段や使用感などのデメリット

女性用コンドームは多くのメリットを持つ一方で、広く普及する上で障壁となっている、いくつかのデメリットや課題点も存在します。
これらを事前に理解しておくことは、後悔しない選択をするために不可欠です。
値段が高い
最も現実的なデメリットは、その価格です。
男性用コンドームが1個あたり数十円から100円程度で購入できるのに対し、女性用コンドームは1個あたり300円から500円程度が相場となっています。
頻繁にセックスをするカップルにとっては、このコストの差は経済的に大きな負担となる可能性があります。
この価格の高さが、普及を妨げている最大の要因の一つと言えるでしょう。
入手しにくい
「どこで売ってるの?」という疑問が示す通り、女性用コンドームは、近所のドラッグストアやコンビニエンスストアで気軽に購入することはできません。
主にインターネット通販での購入に限られるため、すぐ必要になった時に手に入らないという不便さがあります。
事前の計画的な購入が必要となる点は、デメリットと言えます。
装着に慣れが必要
タンポンの使用経験がある人でも、初めは膣内に正しく装着することに戸惑うかもしれません。
内側のリングを正しい位置に固定するには、少し練習が必要です。
慣れないうちは、セックス中にずれてしまったり、違和感を覚えたりすることがあります。
この「使いこなすためのハードル」が、使用を断念する理由になることも少なくありません。
使用感に関する問題
実際に使用した人の感想として、以下のような点が挙げられることがあります。
- 見た目への抵抗感:外側のリングが膣の外に見えている状態を、パートナーが気にする、あるいは見た目が良くないと感じることがあります。
- カサカサという音:ピストン運動の際に、素材が擦れて音が出ることがあります。これを気にして行為に集中できない、という声もあります。
- 感度の低下や違和感:男性側、女性側双方で、感度が鈍る、あるいはリングが当たって違和感があると感じる場合があります。
これらのデメリットは、決して無視できるものではありません。
特に、使用感に関する問題は、カップル双方の満足度に直結します。
メリットとデメリットを天秤にかけ、自分たちの関係性や価値観に合っているかどうかを、パートナーとよく話し合って判断することが重要です。
気になる避妊効果と安全性について
新しい避妊法を試す上で、誰もが最も気にするのは「本当に安全なの?」という点でしょう。
ここでは、女性用コンドームの避妊効果と、性感染症(STI)予防効果について、科学的なデータに基づいて解説します。
避妊効果の確率
避妊具の効果を測る指標として、「パール指数」というものがあります。
これは、100人の女性がその避妊法を1年間続けた場合に、何人が妊娠するかを示した数値です。
この数値は、説明書通りに毎回正しく使用した場合の「理想的な使用(Perfect Use)」と、失敗や使い忘れなどを含めた現実的な「一般的な使用(Typical Use)」の二通りで評価されます。
女性用コンドームの避妊効果は、以下のようになっています。
| 使用方法 | 妊娠する確率(1年間) |
|---|---|
| 理想的な使用 | 約5% |
| 一般的な使用 | 約21% |
比較のために、男性用コンドームのデータも見てみましょう。
| 使用方法 | 妊娠する確率(1年間) |
|---|---|
| 理想的な使用 | 約2% |
| 一般的な使用 | 約18% |
このデータから分かるように、理想的な使用、つまり毎回完璧に正しく使えた場合の避妊効果は、男性用コンドームと比べてわずかに劣るものの、十分に高いと言えます。
しかし、問題は「一般的な使用」の場合の妊娠率が21%と、かなり高くなってしまう点です。
これは、装着の失敗や、セックス中のズレや破損など、現実世界での使用がいかに難しいかを示しています。
結論として、女性用コンドームは、正しく使いこなせれば有効な避妊法ですが、その使い方に習熟することが、効果を最大限に発揮するための絶対条件となります。
性感染症(STI)の予防効果
女性用コンドームは、HIV(エイズ)、クラミジア、淋病、梅毒といった、体液を介して感染する性感染症に対して、男性用コンドームと同等の高い予防効果があります。
さらに、前述の通り、外側のリングが外陰部を広くカバーするため、皮膚の接触で感染するヘルペスや尖圭コンジローマなどに対しても、男性用コンドームより高い予防効果が期待できるとされています。
この点は、女性用コンドームの安全性における、大きなメリットと言えるでしょう。
実際に使った女性のリアルな感想
理論やデータだけでなく、実際に女性用コンドームを使った人々がどのように感じているのか、その「本音」を知ることは、あなたが使用を検討する上で非常に参考になるはずです。
ここでは、様々なメディアや調査から集められた、ポジティブな感想とネガティブな感想の両方をご紹介します。
ポジティブな感想・口コミ
まず、女性用コンドームを肯定的に評価している人々の声です。
- 「自分の身体を自分で守れる安心感が何より大きい。彼に『着けて』とお願いするストレスから解放されただけで、セックスが前向きになれた」(20代女性)
- 「彼がラテックスアレルギーなので、これが唯一の選択肢。最初は違和感があったけど、慣れれば平気。彼の生に近い感触が嬉しいみたいで、前よりセックスが増えた」(30代女性)
- 「挿入前に着けておけるのが本当に楽。雰囲気を壊さずに済むし、前戯に集中できる。外側のリングがクリトリスに当たって、意外と気持ちいい時もある」(20代女性)
- 「男性用みたいに、終わった後にすぐ抜かないと…という焦りがないのが良い。余韻に浸る時間があるのは、精神的にすごく満たされる」(30代女性)
これらの感想からは、「主導権を握れる安心感」「パートナーとの関係性の改善」「ムードを壊さない利便性」といったキーワードが浮かび上がってきます。
ネガティブな感想・口コミ
一方で、使用を断念したり、不満を感じたりした人々の声もあります。
- 「説明書を読んで何度も練習したけど、うまく挿入できなかった。中でちゃんと広がっているか不安で、セックスに集中できなかった」(20代女性)
- 「動くたびにカサカサ、グチュグチュという音が気になって、ムードが台無しになった。彼も笑ってしまって、それ以来使っていない」(20代女性)
- 「外側のリングが邪魔。見た目もなんだか医療器具みたいで、全然興奮できなかった。中のリングも、角度によっては彼に当たって痛いみたい」(30代女性)
- 「高い。正直、この値段を毎回払い続けるのは無理だと思った。もっと安くならないと、日常的には使えない」(20代女性)
これらのリアルな感想から分かるように、女性用コンドームは、ある人にとっては救世主となり得る一方で、ある人にとっては受け入れがたいアイテムにもなり得ます。
大切なのは、これらの感想を参考にしつつも、最終的には「自分たちカップルにとってどうか」という視点で試してみることです。
他人の評価が、必ずしもあなたに当てはまるとは限らないのですから。
失敗しない女性用コンドームの実践ガイド
- イラストで分かる正しい使い方と注意点
- どこで売ってる?主な販売店と入手方法
- 日本で入手可能なフェミドームとは
- 挿入時の違和感を減らすコツ
- パートナーへの上手な伝え方と事前の準備
- まとめ:女性用コンドームで性を主体的に守る
イラストで分かる正しい使い方と注意点
女性用コンドームの避妊効果を最大限に高め、安全に使用するためには、正しい装着方法をマスターすることが不可欠です。
ここでは、初めての方でも分かりやすいように、手順を追って詳しく解説します。
頭の中でイラストを思い浮かべながら読んでみてください。
装着前の準備
- 有効期限の確認:まず、パッケージに記載されている有効期限を確認します。期限切れのものは、素材が劣化している可能性があり危険です。
- パッケージの開封:ハサミなどを使わず、指定された切り口から手で丁寧に開封します。製品を傷つけないように注意しましょう。
- 手を洗う:装着前には、必ず石鹸で手指を清潔に洗ってください。
装着の手順
リラックスできる体勢(片足を上げた姿勢、しゃがんだ姿勢、仰向けに寝た姿勢など)で行うのがおすすめです。
- 製品の確認:コンドームを取り出し、破れや傷がないかを確認します。潤滑剤が均等に行き渡るように、袋を軽く揉むと良いでしょう。
- 内側リングの準備:袋の行き止まり側にある、小さい方のリング(内側リング)を、親指と人差し指でつまみ、縦長の8の字になるように細く潰します。
- 挿入:タンポンを挿入する要領で、潰した内側リングを膣内にゆっくりと挿入していきます。
- 奥へ押し込む:人差し指をリングの内側に入れ、リングを膣の奥、子宮頸管の手前あたりまで、できるだけ深く押し込みます。リングが恥骨の向こう側に収まると、安定します。
- 最終確認:指を抜くと、袋が自然に広がり、膣壁にフィットします。外側のリングが膣の入り口から2〜3cm程度外に出ていること、そして袋がねじれていないことを確認してください。
使用中と使用後の注意点
セックス中は、ペニスがコンドームの袋の外側と膣壁の間に入ってしまわないように、最初の挿入の際は手で正しく誘導してあげることが大切です。
使用後は、射精後すぐに抜く必要はありませんが、立ち上がる前に取り外すのが推奨されます。
取り外す際は、精液がこぼれないように、外側のリングを数回ねじって袋の口を閉じてから、ゆっくりと引き出します。
使用済みのコンドームは、ティッシュなどに包んでゴミ箱に捨ててください。
決してトイレには流さないようにしましょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か練習すれば必ずスムーズにできるようになります。
焦らず、自分の身体と対話するように、丁寧に行うことが成功のコツです。
どこで売ってる?主な販売店と入手方法
女性用コンドームを使ってみよう、と思っても、いざ探してみると「一体どこで売ってるの?」と困ってしまう方がほとんどでしょう。
男性用コンドームのように、ドラッグストアやコンビニの棚に並んでいることは、残念ながら日本ではまずありません。
ここでは、主な入手方法について具体的に解説します。
インターネット通販が主流
現在、日本で女性用コンドームを入手する最も確実で一般的な方法は、インターネット通販を利用することです。
Amazonや楽天市場といった大手の通販サイトで「女性用コンドーム」あるいは「フェミドーム」と検索すれば、いくつかの製品を見つけることができます。
また、セクシャルウェルネス用品を専門に扱うオンラインストアなどでも、取り扱いがあります。
通販のメリットは、誰にも会わずに、プライバシーを守りながら購入できる点です。
また、複数の製品の価格や特徴、ユーザーレビューを比較検討しながら、じっくり選べるのも魅力です。
デメリットとしては、送料がかかることや、注文してから届くまでに時間がかかるため、急に必要になった場合には対応できない点が挙げられます。
一部の薬局や専門機関
ごく稀に、品揃えが豊富な大型の薬局や、性感染症予防に力を入れている一部のクリニック、あるいはNPO法人などの保健機関で取り扱っている場合があります。
しかし、これは非常に限定的であり、一般的ではありません。
もし近所で購入したい場合は、事前に電話などで問い合わせて、在庫の有無を確認するのが確実です。
海外では、スーパーマーケットや薬局で普通に販売されている国も多くありますが、日本での市販はまだまだ進んでいないのが現状です。
結論として、女性用コンドームを試してみたいと思ったら、まずはインターネット通販で探すのが最も手っ取り早い方法と言えます。
購入の際は、信頼できる販売元から、有効期限が十分にある正規品を購入するように心がけましょう。
日本で入手可能なフェミドームとは

日本で「女性用コンドーム」を検索すると、必ずと言っていいほど「フェミドーム」という言葉を目にするでしょう。
このフェミドームとは一体何なのか、その正体と、現在日本で入手できる製品について解説します。
「フェミドーム」は元祖ブランド名
「フェミドーム(Femidom)」とは、もともと世界で初めて開発・販売された女性用コンドームの商品名(ブランド名)です。
その影響力が非常に大きかったため、ティッシュペーパーを「クリネックス」、ステープラーを「ホッチキス」と呼ぶように、フェミドームが女性用コンドームそのものを指す一般名称のようになっています。
最初に登場した「FC1」というモデルはポリウレタン製でしたが、その後、より安価で柔らかいニトリルゴムを使用した「FC2」という改良版が登場し、世界的に広く普及しました。
現在、インターネット通販などで「フェミドーム」として販売されている製品の多くは、この「FC2」を指していると考えて良いでしょう。
現在日本で購入できる主な製品
2024年現在、日本国内で比較的安定して入手可能な女性用コンドームは、主に以下の製品が挙げられます。
- FC2(Female Condom 2):世界標準とも言える、最も普及しているモデルです。素材はニトリルゴムで、潤滑剤としてシリコンオイルが塗布されています。多くの臨床試験データがあり、信頼性が高いのが特徴です。
- マイフェミ:日本の企業である相模ゴム工業が販売している女性用コンドームです。性交時の「音」が気になるという声に応え、潤滑剤にこだわって静音性を高めているのが大きな特徴です。日本のユーザーにとっては、国内企業が販売しているという安心感もあります。
これらの製品は、基本的な構造(大小2つのリングと袋)は同じですが、素材の厚みや潤滑剤の種類、価格などに若干の違いがあります。
初めて購入する際は、世界的に実績のある「FC2」か、日本のユーザー向けに改良された「マイフェミ」のどちらかから試してみるのが良いでしょう。
過去には他のブランドも存在しましたが、現在では入手が困難になっています。
女性用コンドームの選択肢がまだ少ないのが日本の現状ですが、これらの製品が、女性の性を守るための重要な選択肢であることに変わりはありません。
挿入時の違和感を減らすコツ
女性用コンドームを初めて使う人が、最もつまずきやすいのが「挿入時の違和感」や「装着の難しさ」です。
しかし、いくつかのコツを知っておくだけで、これらの問題は大幅に軽減できます。
ここでは、スムーズな装着と快適な使用感を実現するための、実践的なテクニックをご紹介します。
とにかくリラックスする
最も大切なことは、心と身体の力を抜くことです。
「うまく入れなきゃ」と緊張すると、膣の周りの筋肉が硬直してしまい、かえって挿入が難しくなります。
お風呂上がりのリラックスした時間など、まずはセックス本番ではない時に、練習として装着してみるのがおすすめです。
深呼吸をしながら、自分の身体を探検するような気持ちで、焦らずに行いましょう。
潤滑剤(ローション)を追加する
製品には元々潤滑剤が塗布されていますが、それだけでは不十分な場合があります。
特に、挿入に手間取っていると、潤滑剤が乾いてきてしまいます。
そんな時は、ためらわずに市販の水溶性潤滑剤を追加しましょう。
コンドームの外側(膣壁に触れる側)と、内側のリング周辺に少し足してあげるだけで、滑りが劇的に良くなり、スムーズな挿入を助けてくれます。
また、セックス中も、必要であればペニス側や膣の入り口に潤滑剤を追加することで、より快適な使用感が得られます。
正しい位置まで深く挿入する
違和感の原因として意外に多いのが、挿入が浅すぎることです。
内側のリングが中途半端な位置にあると、セックス中にペニスに押されて動いてしまったり、リングが当たって痛みを感じたりすることがあります。
人差し指などを使い、内側リングを「これ以上奥には行かない」と感じる場所、つまり子宮頸管の手前の広いスペース(膣円蓋)まで、しっかりと押し込むことが重要です。
正しい位置に収まると、リングの存在をほとんど感じなくなり、驚くほど快適になります。
これらのコツは、自転車の乗り方を覚えるのに似ています。
最初は誰もがぐらついたり、転んだりしますが、何度か繰り返すうちに、身体が自然とバランスの取り方を覚えていきます。
一度感覚を掴んでしまえば、次からは何も考えなくてもスムーズにできるようになるはずです。
パートナーへの上手な伝え方と事前の準備
女性用コンドームを二人のセックスに導入する上で、避けては通れないのが、パートナーへのコミュニケーションです。
何も言わずに突然装着して驚かせる、というのはあまり良い方法とは言えません。
ここでは、彼の理解と協力を得て、ポジティブな雰囲気で導入するための伝え方のヒントをご紹介します。
提案のタイミングと切り出し方
最も重要なのは、セックスの直前ではなく、リラックスして話せる時間にあらかじめ提案することです。
ベッドの中ではなく、普段の会話の中で、「ねえ、こんなの見つけたんだけど、知ってる?」と、あくまで情報共有のような形で切り出すのがスムーズです。
その際、決して「あなたのせいで必要」というような、相手を責めるニュアンスにならないように細心の注意を払いましょう。
あくまで、「二人のセックスを、もっと安全で、もっと楽しむための新しい選択肢」として提案するのがポイントです。
例えば、以下のような伝え方が考えられます。
- ポジティブ提案型:「最近、女性が自分でできるコンドームがあるんだって。ムードが途切れないし、面白いらしいから、今度一緒に試してみない?」
- アレルギー配慮型:「あなた、たまにゴムで痒くなることあるじゃない?これは素材が違うから、もしかしたらもっと快適かもしれないよ」
- 健康志向型:「自分の身体のことは、もっと自分で管理したいなって思うようになって。避妊とか、お互いの健康のために、こういう選択肢も知っておくの、大事じゃないかな」
彼の疑問や不安に寄り添う
彼も、女性用コンドームについて知らないことばかりのはずです。
「どんな感じなの?」「感触は変わるの?」「痛くないの?」といった疑問や不安が出てくるのは当然です。
その一つ一つに、この記事で得た知識などを使って、丁寧に答えてあげましょう。
特に、男性が気にしがちな「見た目」や「自分の感度」については、正直に話し合うことが大切です。
「最初はちょっと変な感じがするかもしれないけど、慣れるみたいだよ」「あなたのペニスを締め付けないから、むしろ気持ちいいって言う人もいるんだって」というように、メリットも伝えましょう。
そして、「もし試してみて、どっちかが嫌だと感じたら、無理に続けるのはやめようね」と、逃げ道を用意しておくことも、相手を安心させる上で非常に重要です。
これは、どちらか一方のためのものではなく、あくまで「二人」のための試みである、という姿勢を一貫して示すことが、彼の協力を得るための鍵となります。
まとめ:女性用コンドームで性を主体的に守る
この記事では、まだ日本では馴染みの薄い「女性用コンドーム」について、その仕組みから実践的な使い方、そして心構えに至るまで、包括的に解説してきました。
女性用コンドームは、決して万能な避妊具ではありません。
価格の高さ、入手しにくさ、そして装着に慣れが必要であるといった、無視できないデメリットも存在します。
しかし、それらの課題を補って余りある、計り知れない価値を持っています。
それは、「女性が、自分自身の身体と健康を、自らの意思で、主体的に守る」という、力強い選択肢を与えてくれることです。
パートナーの気分や協力に左右されることなく、望まない妊娠や性感染症のリスクから自分を遠ざけることができるという事実は、女性に大きな自信と安心感をもたらします。
また、セックスのムードを中断させない、ラテックスアレルギーの心配がないなど、カップルの関係性によっては、男性用コンドームよりも優れた解決策となる可能性も秘めています。
大切なのは、正しい知識を身につけ、パートナーとオープンに話し合うことです。
そして、もし試してみることを決めたなら、焦らず、何度か練習するつもりで取り組んでみてください。
女性用コンドームは、数ある避妊法の中の一つの選択肢に過ぎません。
しかし、この選択肢を知っているかどうか、そしてそれを選ぶことができるかどうかは、あなたのセクシャルウェルネスの質を大きく左右するかもしれません。
この記事が、あなたが自分らしい性のあり方を見つけ、より自由に、そしてより安全にセックスを楽しむための一助となれば幸いです。
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- 女性用コンドームは膣に挿入して使う袋状の避妊具
- 女性が主体的に避妊と性感染症予防を行えるのが最大のメリット
- パートナーの協力に依存せず自分の身体を守れる
- 性交の数時間前から装着できセックスのムードを妨げない
- 素材はニトリルゴムが多くラテックスアレルギーでも安心
- デメリットは値段の高さと入手しにくさ、装着に慣れが必要な点
- 避妊効果は正しく使えば高いが一般的な使用では失敗率が上がる
- 性感染症予防効果は高く外陰部を広くカバーできる利点もある
- 主な入手方法はネット通販でドラッグストアではほぼ見かけない
- フェミドームは元祖ブランド名でFC2やマイフェミが現行製品
- 装着のコツはリラックスし潤滑剤を追加し奥までしっかり挿入すること
- パートナーには二人のための新しい選択肢として前向きに提案する
- 彼の疑問や不安に寄り添い無理強いしない姿勢が大切
- 正しい知識とパートナーとの対話が成功の鍵となる
- 自分の性を主体的に守るための力強い選択肢の一つである


